<< 2010年09月 >>
12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930

日本航空の更生計画案が提出されました ニュース記事に関連したブログ

2010/09/05 19:33

 

提出が延期されていた日本航空の更生計画案が東京地方裁判所へ提出されました。日本航空のウェブサイトに「更生計画案の内容のポイント」が書かれたファイルがアップされています。(下記のリンク)

 

http://www.jal.co.jp/other/info2010_0831.html

 

日本航空が発表した資料によりますと、事業計画のポイントと書かれたページには、以下の文章が書かれています。(以下、引用。但し、各ポイントの番号は筆者がつけています)

「事業計画のポイント」

1 非効率機材の早期退役による機種数の削減と,新鋭中小型機材の導入によるダウンサイジング,不採算路線からの大胆な撤退により,赤字路線を全廃いたします。

2 空港コスト構造改革,施設改革,人事賃金制度・福利厚生制度の見直し等を行い,これまでにない徹底した費用削減を行うとともに固定費の変動費化に努めます。また,ホテル事業の売却等,子会社の売却・清算を行い,経営資源を航空運送事業へ集中します。

3 早期退職・子会社売却等により,JAL グループの人員削減をより推進し,平成21年度末の48,714 人から平成22年度末には約32,600人とします。

4 国内旅客事業は,多頻度・小型化を図り羽田線を中心としたネットワークを維持し,収益性の向上に努めます。国際旅客事業は,他航空会社との二者間提携の活用を含めてネットワークの強化を図ります。特にアメリカン航空とはATI 認可を申請し,太平洋路線の収益の強化を目指します。

5 グループ経営方針の共有化を確実に行える,より効率的・戦略的な組織を構築します。また,グループ損益実体把握の早期化,数値責任の明確化により,計画を確実に実行できる経営管理体制を構築します。

6 リーマンショックのような金融危機・新型インフルエンザ発生等,イベントリスクの発生時に即応できる体制等を整備することにより,リスク耐性のある経営を実現します。

7 初年度から営業黒字化・債務超過脱却による早期再生を目指します。(引用 終り)

 

一方、前原国土交通大臣は「日本航空の更生計画案提出に際しての国土交通大臣コメント」の中で、「日本航空の再生を図る上では、日本航空において、人員削減計画をはじめ、更生計画案に盛り込まれた施策を着実に実施し、目標とされる業績を達成すべく努力することが重要であると認識している。 」とコメントしています。

これらの発表を読む限り、「立派な内容であり、この更生計画案を絵に描いた餅ではなく実現し、更生計画案に書かれている7年での分割弁済を実現するしかないですね。」としか言えません。更生計画を実現すれば、誰も文句を言わないでしょうが、「本当に更生計画が実現できるか。」の一点に尽きます。企業再生支援機構と日本航空のお手並み拝見です。

上記資料によりますと、「JAL グループは,平成22 年3 月末時点での連結概算ベースで,9,592 億円の債務超過に陥っており,今後,更生計画に基づく権利変更,および機構による3,500 億円の出資がなされ,平成23 年3 月末までの事業利益等を計上することによって,平成23 年3 月末時点において債務超過を解消することを計画している。また,今後の事業利益等の積み上げにより,平成25 年3月末時点において1,800 億円超の純資産を確保することを計画しており,財務基盤の安定化を図る。なお,イベントリスク等に対する耐性強化の観点から,今後,追加的な資本増強策等の諸施策を検討する」とされています。また、「厚遇との批判も強かった役員・従業員への福利厚生他の各種待遇(いわゆるフリンジ・ベネフィット)の見直しを行う。法定または世間一般の水準とすることを基本として,航空事業者として必要最小限の水準および範囲となるよう,徹底した見直しを実施する。」とも書かれています。

 

この公式発表には含まれていませんが、売上・利益などの損益計画は(新聞などの報道によりますと)、「売上高は10年3月期の1兆4948億円から15年3月期には1兆3221億円に縮小するが、営業損益は1337億円の赤字から1331億円の黒字に回復させる。」と報じられてます。その上、2012年末までに株式を上場させる計画とも報じられています。

 

では、この様な内容の更生計画にも拘わらず、主要取引金融機関が、新規融資の再開に同意していないのは、なぜでしょうか?あくまでも推測にしかすぎませんが、恐らく更生計画の内容が甘く、蓋然性が低いと判断しているからではないでしょうか。今回の更生計画で出された弁済率12.5%という数字は、決して高くありません。債権者は大きな痛手を受けています。

 

上記「事業計画のポイント」の1から4は、経営の効率化によるコスト削減策です。一方で、国際線は、安い人件費などを武器にした格安航空会社が急増しており、競争は激化する一方です。格安航空会社でどの程度の安全性が確保されているかは別の論点でここでは触れませんが(先日、テレビで放映していた立席飛行機には仰天しました。冗談ではないかと…。リスクが高い分安いのでしょう。)、この様に、競争が激化している国際線からの撤退は十分なのか疑問が残ります。蓋然性の高い更生計画を立てるならば、国際線の大幅縮小を検討するべきだと思います。

 

日本航空は、過去、何度も経営合理化が叫ばれましたが、中途半端な対応で、人件費や機材の高コスト体質は改善されませんでした。一時は、私的整理で公的支援による甘い支援を期待しましたが、法的整理となりました。私が最初から会社更生手続きが最適と書き続けてきたのは、リストラを断行し会社を再生させるためには、日本航空の場合、私的整理のような不透明で生ぬるいものでは徹底した構造改革など不可能ではないかと考えたからです。前述のように、金融支援や経営合理化だけでなく、利益が確保できない事業分野からの撤退が十分なのかがポイントです。

 

一方で、個人的な感想ですが、仕事柄、航空機によく乗りますが、会社更生手続き後の日本航空の現場は、変わってきたと感じます。つい先日、羽田から関空へ日本航空の競合相手に乗りましたが、朝一のフライトにも拘わらず、前の晩の整備不良が朝見つかったとの理由で、出発が30分遅れました。当然、予定の乗り継ぎには乗れず、お客様のところへ遅刻してしまいました。その日の帰りは、日本航空で関空から羽田に乗りましたが、時間通りに運行されました。翌週、前回の失敗に懲りたので、同じく朝一の羽田発、関空行きの日本航空便に乗ったところ、定時に出発し予定よりも10分早く着き、帰りの伊丹発、羽田着の日本航空も定時に着きました。先月同じことが、福岡発、羽田着でも起きており、定時性の確保という点では、最近は日本航空を信頼しています。これは日本航空の現場の方の意識が変わり、定時に運行させるべく努力をしているからだと思います。コア事業部門で働く方の意識が変わることが、企業再生で重要な点です。現場が頑張り士気があがっているのですから、企業再生の処方箋を書く部門の失敗は許されないことです。

 

最後に気になる点ですが、「更生計画案の内容のポイント」には、以下の記述があります。

 

「航空事業は,SARS,新型インフルエンザ,リーマンショックをはじめとする金融危機といったイベントリスクに晒されている業種であるため,リスク発生時の体制構築として,イベントリスク兆候の発見に努め,システム開発を行い,運航体制の見直しや緊急的な固定費削減策を機動的に発動する体制等を整備する。なお,イベントリスクが発生する場合,管財人である機構は,更生手続後も,企業再生支援委員会に諮りつつ,株式会社企業再生支援機構法の下で可能な範囲で,事業継続や義務の履行に必要な追加の財務上の支援(出資・融資・保証)を含む諸施策を実行し,予期せぬイベントリスクに即応できる強固な経営体質を構築するよう引き続き支援する所存である。」とのくだりです。文字通り、イベントリスク発生に限定された「事業継続や義務の履行に必要な追加の財務上の支援(出資・融資・保証)を含む諸施策」の実行であるならばとにかく、企業再生支援機構や政府が見通しの甘い更生計画や構造改革の不徹底による赤字が原因のものまで、(日本航空を)丸抱えで救済するならば、以前の日本航空の「困れば政府が何とかする」という企業体質と何も変わりません。競争がますます激化する航空業界(特に国際線)で生き残ることは難しいでしょう。更生計画が甘いため計画が達成できす、追加の公的資金が投入されるようならば、今度は別の意見を書くかもしれません。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

M&Aを成功させるには ニュース記事に関連したブログ

2010/09/05 09:01

 

以前のコラムでも触れましたが、M&Aで成功した割合は、欧米も日本も全体の僅か三分の一にしか過ぎないという先行研究があります。しかし、成功する割合が、三分の一と言っても、籤引きで“M&Aの成功と失敗”が決まるのはなく、成功している買い手は、明確な買収目的を持ち、買収対象企業との間で付加価値を生み出す企業戦略を持ったうえで、検討すべき項目をきちんと確認しながらM&Aのプロセスを進めるため成功するという点にも触れました。逆に言えば、買い手の企業戦略があいまいで(極端な例をあげれば、手持資金に余裕があるので、戦略のないまま企業を買収したような例など)、M&Aの目的が明確でなければM&Aに成功することは難しいと感じます。M&Aを成功させるための方策については、既に多くの書籍が出版されています。しかし、その場面に適した助言をできるかどうかは、経験によってのみ得られるものであり、書物によって得られるものではないことは言うまでもありません。

 

私どもは多くのM&Aに携わってきましたが、今回は、我々の経験から、M&Aを成功させている企業が“何をしているのか”について(簡単ですが)触れてみます。

 

被買収企業の効率性を上げる

 

企業を買収したら直に、自社(買い手)の経営システムを被買収企業へ移入し、被買収企業の経営効率を高め、粗利やキャッシュフローを改善することが可能であることは、企業買収を行う上での基本です。被買収企業の効率性を上げることができないM&Aは行うべきではありません。失敗する確率が高いからです。被買収企業の効率性を上げるには、被買収企業の効率性が低い方が望ましいことと自社に効率的な経営システムを有することが必要な条件となります。被買収企業を日本電産やゼンショーなどが行う企業買収は、この条件にあったものが多いと思います。

 

企業買収で、自社にないノウハウや技術を獲得する

 

自社で技術やノウハウを蓄積することは重要なことである事実を否定するつもりはありません。しかし、自前主義でノウハウを蓄積したり他社に勝った技術力を獲得することは、長期の時間を要し、しかも成功するかどうか不透明であることも事実です。技術力重視の製造業を訪問すると、技術系出身の役員の中には「自社の技術力は最も進んでいるので、競合技術を持つ企業買収は不要。」と言い、自前主義に固執する方もおられます。ところが、過去の事例で、この様に自前主義に固執する某社は、某社に対抗しうる有望技術をもったX社買収を断ってしまったことがありました。断った結果、競合他社がX社を買収してしまい、X社の技術を商品化してしまい某社の市場を侵食し、某社は競争優位を失った事例もありました。後に、私は某社から恨み事を言われましたが、私は“逆恨み”だと思っています。某社がX社を買収しなかったのは、某社の判断ミスが原因だと思っているからです。自前主義も重要ですが、自社技術への深い思い入れだけでは、競争には勝てないと思います。企業買収という手段で“カネで時間を買う”ことも必要なケースもあります。


自社製品や被買収企業の製品の新たな販路を獲得する

 

買い手側企業が、被買収企業の販路を利用して買い手側企業の製品を販売したり、逆に、買い手側企業の販路を利用して被買収企業の製品を販売することもM&Aを成功させるのに有効です。M&Aを成功させるために、自社のコア事業を補完できる製品や技術力を企業買収で獲得することも有効です。

 

事業統合で業界の過剰設備を適正化する

 

成熟した業界が、過剰設備・過剰雇用に直面し効率的でない場合など、2社以上が事業を統合させ、余剰設備や余剰人員の整理を行い、競争優位を確保するタイプのM&Aも企業価値をあげることが可能です。典型的な事例は、電機業界・医薬品業界・百貨店業界などで起きていますので、これ以上の説明は不要でしょう。

 

お客様の中で、M&Aで結果を出している企業は、以上のような施策を行っています。企業買収を検討されている方のご参考になれば幸いです。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

再考する時期に来た ニュース記事に関連したブログ

2010/08/30 12:52

 

そもそも日本企業が中国へ生産拠点を移転した理由は、国内と比較して安価な労務費を利用して、コストダウンを図るというものでした。時間が経つにつれ、中国が経済成長を遂げ、賃上げの要求が強まることは当初から予想できたことです。経済成長により賃上げ要求が強まったということは、賃上げによる利益減少、ストライキのリスク、工場の操業が(ストで)止まり製品供給に影響が出るリスクが高まったことであり、製品を安く製造するという当初の目的を達成することが困難な状況になったことを意味します。日本企業各社は海外戦略の見直しをする時期になったと思います。中国が消費地であるという意見には同感ですが、第三国で安価に製品を製造し、中国に輸出し販売して利益を確保するという手段も十分考えられることです。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 

関連ニュース

アメリカと日本のM&Aに対する考えの違いとは ニュース記事に関連したブログ

2010/08/28 09:33

 

「米国ではM&Aは家を買う感覚に近いが、日本では結婚のようなものだ」「日本では買収する側とされる側の信頼関係が重視されるため、長い時間がかかる」。これは、8月24日の日本経済新聞【人こと】に出ていた3M(スリーエム)のジョージ・バックレーCEOの発言ですが、実に的確にアメリカと我が国の一般的なM&A観の違いを言い当てていると思います。

個人的には中国人もアメリカ人のM&A観にかなり近いものを持っているとも感じます。外国企業による日本企業の買収の交渉では、相手側(買い手)は、自分たちを「家を買う」感覚で買収しに来ているのだ。という意識を持って交渉するのと、この価値観の違いを知らず「結婚を申し込みに来ている」と大きな誤解をして交渉するのでは、M&A後に、大きな違いを生じる原因となります。結果として不幸な結果(M&Aの失敗)を招く可能性が高まります。

M&Aを失敗する原因は、大きく3つあります。1)買収する相手を間違えている。事業関連性が全くなく、錬金術として会社を買収する。2)買収する相手は正しくシナジー効果による企業価値の向上も図れると想定できるが、企業精査(デューディリジェンス)で相手方の重要なリスクを見落したまま買収してしまう。3)2)と同じく買収する相手は正しく、企業精査もきちんと行われリスクを把握したが、買収の対価が高すぎる結果、買い手は投資額を回収できない。です。

これら3つの失敗する理由に加え、海外企業とのM&Aでは、お互いの価値観の違いが大きいのに、企業売却を強行し、その結果、M&Aに失敗することも考慮するべきでしょう。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

【再掲】外資買収後に待っていた悲惨な実情 ニュース記事に関連したブログ

2010/08/15 15:09

 

外資による買収を推進すべしという一部マスコミの意見があります。これを“黒船襲来”というつもりはありません。しかし、M&Aにも中長期にわたって買収された会社の繁栄につながるものと単に技術や財産狙いで買収し、富を持ち去った後で、会社を使い捨てにするものがあります。当社は、前者の対日投資を支持しますが、後者には断固反対です。抽象論では仕方がないので、今回は、昨年11月6日に放送された日経スペシャル「ガイアの夜明け」のウェブサイトから具体的事例を紹介します。(以下、引用開始)

甦れ!俺たちの工場  〜“モノ作りニッポン”再生物語

ニッポンの製造業を底辺で支えてきたモノ作りの街で、中小企業の廃業が続出している。戦後の高度成長期に創業や引継ぎをしたオーナー経営者の大半が、引退の時期になっている上、せっかく培った技術を引き継げる後継者が存在せず、廃業するケースが頻発しているのだ。グローバル競争にさらされる大企業からは、常に厳しいコスト削減と納期を要求され続け、技術も磨く必要がある。厳しい現実に、明るい未来を見出す若い世代は少ない。
そして、「モノ作りニッポン」に忍び寄るもうひとつの危機。それは、疲弊し切り捨てられていく、地方経済。 強大化した中国が、日本製造業への買収に乗り出し、その後容赦なく日本の工場・従業員を切り捨てていく・・・。そんな、悪夢のような事態がニッポンのモノ作りの現場で実際に起きているのだ。
世界的な技術力を誇りながら、内なる後継者問題と、グローバル競争の荒波にさらされる、日本のモノ作りの実態。再び、力強く成長させる手立てはないのか?

モノ作り立国」で起きている実態をドキュメントする。

(中略)

 中国企業に買収 そして捨てられた工場…】

2006 年8月、中国太陽電池大手の「サンテック:尚徳太陽能電力(SUNTECH)」が、日本の太陽電池メーカー、MSKを約345億円で買収。中国企業による日本企業の買収では、過去最大となった。福岡県・大牟田市にある工場は、2004年にMSKが建設したばかりの工場。新しい産業が街にやってきたと、歓迎されたが、今年1月、中国の本社が、大牟田工場の閉鎖を突如決定。太陽電池部品の生産を中国に移管してしまったのだ。雇用を失いかねない事態に、困惑する従業員たち。「太陽電池」という新しい分野で、働く意欲に溢れていた大牟田の人々に、激震が走った。

【悪魔か?救世主か?その時、ファンドが現れた…。】

破たんした旧長銀で地獄を見て、転職した米シティバンクで、九州の富裕層開拓に奔走し成功を収めた、凄腕金融マンがいる。森大介さん(38)。今年5月、後継者難に悩む地場の中小企業を支援しようと、地銀などの協力を得て、新しいファンド(総額48億円)立ち上げた。その森さんが、九州の地域再生のために、目をつけた案件。それが中国に捨てられた、MSK・大牟田工場だった。
さっそく森さんが動いた。去年MSKで中国との買収交渉に当たった元幹部を、社長・会長に抜擢。工場の従業員とともに、EBO(従業員による事業買収・経営権の取得)を提案したのだ。約9カ月。大牟田工場を見捨てた中国企業から、事業引渡しの承諾を得た他、大手商社などからの出資も受け入れ、着々と新会社設立に向け動き出していた。しかし、工場の担保設定をめぐり、商社などとのの意見相違が・・・。新会社の設立に、出資企業の思惑が交錯し、暗雲が立ち込め始めていた・・・。

【工場に戻ってこい!人生をかけたスカウト】

一方、新会社の発足を11月に控え、大牟田工場では、従業員たちが、辞めて行った仲間を工場に呼び戻そうと、採用活動を始めていた。しかし、採用担当者は言う。「突然、工場閉鎖を聞いた、あのときのことがトラウマになっているんです…。また、同じことが起きるんじゃないのかって.。そんな人たちに、大丈夫だから戻って来いなんて言えますか?・・・」だが、残された時間は少ない。工場の稼動のためには、今の35人の約3倍の100人が必要になる。採用担当者は、仲間の従業員を回って説得を続ける一方、社長は、原材料メーカーを回り、製品を作るのに必要な材料の調達に奔走する。中国資本に見捨てられた、九州の地方工場。ファンドと手を組み、独立して技術力を再生できるのか?
11月1日。再生した新しい工場が、稼動の日を迎えた・・・。

http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview071106.html

(以上、引用終わり)

会社を自分たちの儲けのネタにするM&Aもかなり存在しています。会社の譲渡を考えている方は、売り方次第で、この様な事態になることも想定して、相手先を絞るべきでしょう。

 

(追記:2010/08/15)

上記のような外資系への技術流失が、(この記事にあるような)日本企業・産業界の競争優位を失う事態を招くことは明らかです。わが国の競争優位確保という長期的な観点から、企業売却先を検討するという見方も大切ではないでしょうか。

また、M&Aとは関係がありませんが、アジア企業から高額なカネを受け取り日本企業のコア技術を教える日本人技術者の話もあちらこちらで聞きます。自分だけカネをもらえれば、母国の競争優位など知ったことではない。こういう考えもあるのかもしれませんが。

ちなみに、日本には国家の安全保障に関する企業買収を止めさせることを可能とする日本版エクソン・フロリオ条項(アメリカ韓国にはある)はありません。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

外食業界に於けるM&A環境の変化 ニュース記事に関連したブログ

2010/08/10 21:23

 

先日、ある東証一部上場企業(名前を出すと皆様ご存知の企業です)で、第三回目のM&Aセミナーを行いました。小職は、この企業で、年1回、役員・部長クラスの皆様を対象にM&Aセミナーを行っており、今年で3年目になります。

 

セミナーの内容は詳しく報告できませんが、セミナーの一部(外食業界に於けるM&A環境の変化)をこのコラムで紹介します。

 

外食企業のM&A件数は、2006年には約80件が公表されていましたが、2009年には公表件数が約20件に減少し、件数比較では約四分の一になっています。逆に、外食企業の倒産件数は、2009年は2005年以降で最多を記録しました。2009年の外食企業の倒産内容を分析すると、その9割以上が、“破産手続”=会社の清算を前提とした法的整理です。この事は、再生可能な外食企業が極めて少ないこと。また、スポンサー候補の不在を意味しています。負債総額から見ますと2008年の負債総額が2009年の負債総額を上回っており、前述の様に2009年の倒産件数が過去5年で最多であったことも勘案すると、中小外食企業の倒産が増加していることが判ります。

 

M&Aが激減し倒産が急増していることから、各上場企業が会計制度の変更で導入された減損会計リスクや資産除去債務リスクを伴う外食企業や流通企業のM&Aを敬遠していると推測できます。非上場企業とにっては、前述の会計規制は適用されませんので、影響は小さいと思われます。上場企業で外食を手がける企業は、競合相手が破産するのを待ち、破産した競合相手から立地の良い店舗をリスクの無い状態で取得する方向に大きく変わってきていると思います。国内の外食過剰店舗が適正規模に調整されるまでは、この傾向は続くものと予想しています。これは、外食企業に限られたものではなく、資産除去債務リスクなどは、賃貸借で店舗を出店する業種全般に共通な問題でしょう。

 

このように、この数年で外食業界に代表される業界のM&A環境は激変しています。国内の景気の実態が大変悪いことが、M&Aを例にあげても判ります。セミナーでは、他にも牛丼業界のY社とZ社のM&Aの違い、名ばかりMBOとは何か、外資系企業によるM&Aの難しさ他のお話もしましたが、今回のコラムでは割愛させて頂きます。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

2010年上半期のM&Aは11.7%減 ニュース記事に関連したブログ

2010/07/07 13:28

 

レコフデータ社が、2010年1月から6月までのM&A件数を公表しました。記事にもありますが、日本企業同士のM&Aは614件(前年同期比19.7%減)、日本企業による海外企業のM&Aは176件(28.5%増)、海外企業による日本企業のM&Aは72件(2.7%減)に終わり、全体では862件(11.7%減)に終わりました。

 

このままのペースで今年後半も進めば、今年のM&A件数は1700件前後で終わることが予想されます。2005年や2006年には、年間2700件を超えていましたので、当時との比較では、約1000件減少することになります。

 

M&Aが年間2700件も起きていた当時は、世界的に投機資金が余っており、投資資金がファンドに流れ込んで、企業を対象とする投機活動が盛んでした。これもM&Aの件数にカウントされています。リーマンショック以降、ファンドに投機資金が集まりにくくなりましたので、ファンドによる企業買収は低調です。

 

私は2007年に「M&Aバブルのピークは過ぎた。」と書いていますが、2005年、2006年の状況は、20年近くM&Aに従事した経験からも異様なものでした。前述の様な投機的な動きが除かれ、事業会社による戦略的なM&Aだけが残るならば、現在の水準が平時の状況であり、特段騒ぎ立てるほどのことではないと思います。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

二次破綻が起きかねない日本航空 ニュース記事に関連したブログ

2010/07/06 19:20

 

週刊ダイヤモンドが、日本航空の更生計画を巡る会社側と債権者側の交渉について報じています。このダイヤモンドの記事が事実であると仮定するなら、日本航空側の取り組みは実に甘いと言わざるを得ません。

 

この記事によりますと、2010年度、11年度、12年度とV字の業績回復をする計画だそうで、世界的にも高水準である営業利益率9%を12年度に達成する内容になっているそうです。日本航空の経営破たんの原因のひとつとして挙げられているものに、高い国際線事業の変動リスク(ボラティリティ)があることは、再三、報道されてきたことです。会社更生手続きを確実に進め、債権者へ確実に弁済を実行するためには、国際線の比率を大きく減少させ、黒字が確実な国内線の運行中心で手堅く利益を確保することが、債権者の理解を得るものだと考えますが、今回の更生計画案では売上高の47%を国際線が、残り53%を国内線が占める見込み(12年度)で、変動リスクの高い(蓋然性が低い)更生計画案の様です。

 

その上、ダイヤモンドによりますと、「JALサイドが銀行団に語った説明によると、国際線の下ブレリスクはたった2%しか加味していない。」。この様に変動リスクの高い更生計画案を提示されても、債権者の立場として受け入れることは難しいと思います。

 

また、更生計画案の問題点として、国際線の旅客単価と座席利用率の目標値についても記事は疑問を呈しています。国際線の旅客単価が、2010年度以降、右肩上がりで上昇する計画となっており、2009年度との比較で、わずか2年で3割も旅客単価が上がるという計画だそうです。ローコストキャリアとの価格競争は激しさを増すと予想されますし、日本航空が予想する様に、大幅な旅客単価上昇は可能という見方には、正直疑問を感じます。記事は座席利用率にも疑問を呈していますが、文字数の関係もありここでは省略します。

 

航空輸送業の生命線である「安全確保」関係のリストラを避けることは言うまでもありません。私自身も日本航空・全日空ともに利用しますが、日本航空の定時性確保の取り組みはすばらしいと感じています。現場の方は、時間通りの運行を実現すべく大変な努力をされており、私自身も日本航空の定時運行には信頼をしています。ですから一層、このまま甘い更生計画が破綻し、会社更生手続きが廃止されてしまうことはもったいないと思います。本業を存続させるため、非コア事業・子会社の切り離しは更生計画に大幅に盛り込むべきではないでしょうか。リストラや選択と集中が不十分な更生計画案ならば、金融機関や債権者は納得しないでしょう。

 

更生計画の大前提は、堅く収支を見積もり確実に債権者へ弁済をすることです。運がよければ楽観的観測に基づいた計画が達成できるかもしれません。しかし、これは更生計画の話です。楽観的計画が未達に終われば「ごめんなさい。」では済まない話になります。国家予算の約1%に当る9000億円もの公的資金が投入されるのです。

 

金融機関側がこの更生計画案を受け入れるでしょうか。私には、金融機関がつなぎ融資のリファイナンスに応じるとは思えません。蓋然性の低い更生計画案に基づいてリファイナンスを行った結果、金融機関に損失が起これば、株主代表訴訟のリスクも排除できないでしょう。

 

週刊ダイヤモンド(見出し) http://dw.diamond.ne.jp/?banner_id=t1yah010

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(4)  |  トラックバック(0)

 

関連ニュース

毎日新聞の取材と追加コメント ニュース記事に関連したブログ

2010/06/24 11:56

 

先日、毎日新聞の取材を受け、中国企業による日本企業への買収についてコメントをしました。毎日新聞の紙面に出たコメントを読みましたところ、文字数の関係と思いますが、コメントの一部が掲載されていましたので、このブログでフォローしようと思います。

 

毎日新聞の記事には、“M&A企業の合併・買収)助言会社「カチタス」の平井宏治社長が「環境としては日本企業を買いやすくなる」と語るように、中国資本による日本企業の買収が加速する可能性がある。日本企業が救済される側面もあるが、技術流出を懸念する見方もある。”とあります。

 

為替相場から見れば、元の切り上げが起きれば、日本企業を買収しようとする中国企業にとって、日本企業を安く買収することが可能になります。これが、「(元高、円安の)環境としては、日本企業を(安く買えるので)買いやすくなる。」と言う趣旨です。

 

しかし、同時に中国企業による日本企業への買収には、いくつかのリスクがあることにも触れる必要があります。

 

これは私見にしか過ぎませんが、投資家がアメリカゼロ金利政策と連邦準備制度理事会による潤沢な融資を利用し、この資金で中国をはじめとする発展途上国の安い資産や株を買いあさった結果、新興国の資産や株式が高騰し、現在のバブル経済状態を引き起こしている(理由のひとつ)と思います。

 

このバブル経済で株価等が高騰し、バブルマネーを手にした中国企業が、技術を日本から中国へ移転する目的で、日本の製造業買収を行おうとしているのが、中国企業による日本企業買収の実情です。(これが、記事の「技術流出を懸念する見方もある」という部分です。)

 

さて、少し冷静になって考えれば、中国企業にとり、日本で生産するよりも自国(中国)で生産する方が、生産コストが安くなります。つまり、日本の製造業を買収しても、日本で日本人従業員の雇用し生産を続けることは(中国で生産するよりも)製造コストが高くなるため、中国企業にとっては合理的ではありません。企業買収後、日本の技術を中国へ移転し、日本の工場を閉鎖した方が、中国企業にとっては合理的です。従って、日本側は中国企業が日本企業を買収した後、そのような行動をとる可能性が高いと、M&Aの交渉過程で想定する必要があります。

 

バブル景気にわく外国企業に買収された企業が、その国のバブルが崩壊すれば、どうなるか。過去の事例から想定すべきです。わが国のバブル経済が崩壊した後、わが国の企業が、バブル期に買収した外国企業や資産をどのようにしたか。バブルが崩壊すれば、同じことが繰り返されても不思議はありません。路頭に迷うのは誰でしょうか。

 

また、中国人の「会社観」と日本人の「会社観」は全く違うものであることも知っておくことは有効です。個人的には、中国人の会社観はアメリカ人の会社観に近いと感じています。会社売却の検討の際に、M&A後の従業員の雇用が守れるか。技術流失を防ぐことができるか。我が国では最も重要な論点です。

 

毎日新聞のサイトはこちら

 

最後になりましたが、取材された毎日新聞へお礼申し上げます。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(2)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース

双方代理(仲介)と助言との違いとは ニュース記事に関連したブログ

2010/06/12 13:25

 

M&A専門会社のいわゆる“立ち位置”には,弊社の様に,一方のみに助言する“アドバイザー・パターン”,もう1つは双方の間に立って双方に助言する“仲介パターン”があります。

 

日本でも10年ほど前までは,国内企業の間では“仲介パターン”によるM&Aが殆どでしたが,近年は,利益相反取引を引き起こす“仲介パターン”は減少しています。

 

“アドバイザー・パターン”では,M&A専門会社は,買い手企業(又は,売り手企業)との間だけに専属契約を結ぶため,買い手企業(又は,売り手企業)は自社に有利なアドバイスを受けることができます。“仲介パターン”では,M&A専門会社は,買い手側企業とも契約し,M&A専門会社は,同時に売り手側企業とも契約を結びます。

 

M&Aに限らず,買い手は1円でも安く会社を買いたい立場にあり,売り手は1円でも高く会社を売りたい立場にあります。双方の間に立って双方に助言する仲介パターンでは,買い手側に有利な助言をすれば,売り手側が不利になります。(逆の場合も起こります。)

 

双方の間に立って双方に助言する仲介業者は,例えば,「日本M&Aというのは仲人のように,二社の間に立って仲介し,公正なジャッジメントをして,両社に信頼をされながらM&Aを創り上げていく作業で,両社の企業文化やお互いの心を十分理解をして紡ぎ合わせていくものです」などと言葉巧みに“仲介”の正統性を主張します。

 

確かに,仲介業者の主張は,一見,正しいように聞こえますが,果たして,彼らが言う様な公正なジャッジメントができる“神様”みたいな仲介者が,一体,何人実在するのでしょうか?私は20年近くこの業界にいますが、現在の現役プレイヤーでその様な方にお目にかかったことはありません。“仲介”とは,裁判ならば,同一の者が,検察官と弁護士を兼ねるようなものです。また,双方の間に立って双方に助言する仲介パターンでは,仲介者はお互いを立てなければならないため,仲介業者が双方からの信頼を失うことも多い上に,M&Aを“仲介パターン”で行なう全てのM&A業者が,買い手側と売り手側の両側から手数料を取る事実も見落としてはいけません。つまり,M&A業者にとり,“仲介パターン”を行なえば,“アドバイザー・パターン”よりも2倍の手数料が懐に入ります。“仲介パターン”にしても,M&A専門会社に対する報酬は半額になるわけではありません。

 

実際,売り手,買い手双方がお互いにM&A専門会社をアドバイザーに立てたほうが,条件交渉の過程でM&A専門会社が自身の依頼人を説得しなければならない場面が多いため,結果的に交渉もスムーズに進みます。また,M&A専門会社同士が交渉のクッションとなることで,売り手・買い手の当事者同士が感情的になり交渉が暗礁に乗り上げるのを防ぐ効果もあります。

 

逆に,双方の間に立って双方に助言する仲介では,同一の会社が売り手側と買い手側の両側の情報を独占する立場になりますので,仲介者の中には,M&Aをまとめて,売り手と買い手の両側から手数料を入手したいという動機が働き,買い手側にとって不都合な情報を売り手側に伝えず,逆に売り手側にとって不都合な情報を買い手側に伝えないままM&A契約に持ち込み,成約させてしまうものも実在します。最近,聞いた話でも,買い手側企業は,M&A成約後に買収した会社に不都合な事実があることに初めて気づくトラブルも発生しています。買い手側企業にとっては,仲介会社が売り手側企業に有利な助言を行ったことも知らない内に,M&Aが受け渡しになってしまい,仲介業者へ成功報酬を払ういといった間の抜けた事例も数多く実在します。その意味でも,どうせM&A専門会社を起用するのなら、“アドバイザー・パターン”を採用して自社の味方としたほうが賢明な選択と考えます。我々,M&A専門会社の中には、自社の懐に入る金額を顧客に対する助言よりも優先させたほうが良いと考える会社もあるでしょう。しかし、我々は、そこを我慢してお客様の利益を優先させたいと考えています。これは、各経営者の考え方です。

 

しかも,最近,金融庁から「利益相反取引を避ける」ようにという指導もあり,金融機関がM&Aの助言を行なう場合は,“仲介”行為は行なわれません。「仲介行為が利益相反を産む」という認識が広がり,ほとんどの上場企業が行なうM&Aでは,仲介パターンによるM&A専門会社の起用は避けることが多くなっていますが,中小企業のM&A案件でも,“アドバイザー・パターン”を採用することが必要です。

カテゴリ: ビジネス  > 財界    フォルダ: 指定なし

コメント(0)  |  トラックバック(0)

 
 

関連ニュース